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2015春の大改装〜エンジンブロック加工その3

昨日の記事の内容を要約すると、

・ブロックのクランクシャフト軸受けが真っ直ぐになってなかったので真っ直ぐになるように加工しました。

・シリンダーをクランクシャフトの軸に対して垂直になるようにボーリングしました。

・ついでに可能な限りオフセット加工してみました。

という内容でした。実にマニアックな内容なのですが、予想以上にウケが良かったので(?w)気合いを入れて更に深掘りしてご紹介です。つき合って読んでくれる人いるかなw

CCI20150120_00000.jpg

「ブロックのクランクシャフト軸受けが真っ直ぐになってなかったので真っ直ぐになるように加工」の部分ですが、昨日はさらっとご紹介しましたが、この重要性というか危うさを皆さんご理解頂けているでしょうか?

計測の結果は「ブロック側の3つの軸受けのうち、#1と#2はブロック下面と平行だけれど#3だけ0.07〜0.10mmズレてた」というものでしたが、
「0.10mm?誤差みたいなもんじゃん、たいした事ないない」と思った方も多いんではないでしょうか。・・・実は僕自身がそうでした←ダメ人間w

布団に入ってから軸受けとクランク軸の位置関係を頭の中で思い浮かべていたら、ようやくその危うさに気付いたという・・・人間ちゃんと物事を真正面から受け止めて考えないとダメですね。本日はその内容をご紹介しようと思います。

20150210_03.jpg

上の図は、思いっきり簡略化して書いてますが、3つの軸受けとクランクシャフト軸との位置関係を示しています。なんせ実寸で描くとクリアランスが見えなくなってしまうものでw

左の図が3つの軸受けがきちんと一直線上に並んでいる状態です。真ん中の黒い棒がクランクシャフトのモデルです。クランクシャフト軸と軸受けとの間のクリアランスは0.06mm、つまり軸の両側に0.03mmずつ隙間があってオイルで満たされており、そのオイルの中心で静々とクランクシャフトが回っているイメージですねw

それに対して右の図がうちの赤ミニの加工前の状態です。ワーストケースで0.10mmズレている状態を表してますが・・・なんとか可動範囲内にクランクシャフトが収まるギリギリの状態でした(汗) 各軸受けでクリアランスが均等になるのが最も安定とすると、#1と#3が0.006mm、#2に至っては0.003mmってところでしょうか、実にギリギリです。

「それでも可動範囲に入っているんだから問題ないじゃん」と思う方も居るかもしれませんが、甘い甘いw

20150210_04.jpg

こちらの図は軸受けとクランクシャフトの軸の位置関係を断面方向から見た様子です。こちらも思いっきり簡略化しています。なんせ実寸で描くとクリアランスが見えなくなって以下略w

クランクシャフトの軸は、軸受けとの間に存在するクリアランス中に満たされたオイルの中に浮いた状態で固定されています。こうやってオイルで浮いた状態を維持することによって軸受けと接触して焼き付くことなく回り続けることが出来ます。

そしてこのクリアランスですが、エンジンの構造や出力によって適切な大きさが存在します。何故かというとクランクシャフトの軸はオイルの真ん中で静かに回るわけではなく、ピストンの爆発圧力で押されながら回るので、右の図のように偏心しながらオイル中を回っているのですが、爆発の圧力や頻度によって偏心の量が変わってくるためです。

ローバーのマニュアルによれば、メインジャーナルのクリアランスは0.025〜0.068mmと指定されています。とするとノーマルエンジンのクランクシャフトは一番小さなクリアランスである0.025mmのだいたい半分の量で偏心しながら回っていると考えるのが妥当かと思います・・・だっていちいちぶつかってたらすぐに焼き付いちゃいますからね。つまり実用上限4000rpmのノーマルエンジンのクランクシャフトの偏心量は0.0125mmくらいだと。

このエンジンをチューニングして8000rpmまでぶん回す場合、クランクシャフトにかかる負荷は回転数の比の2乗倍になります。つまり、

(8000÷4000)^2=4倍 となります。

そうするとクランクシャフトの偏心量も単純計算で4倍になるわけで、つまり、

0.0125mm×4=0.050mmとなります。

レース前提でA型エンジンをチューニングする際のクリアランス量は0.06mmと言われてますが、偏心するクランクシャフトにぶつからないためにもまあ妥当な設定なんだろうなあと思います。

ちなみに国産スポーツエンジンのクリアランスはもっと狭いです。せいぜい0.05mmでしょうか。何故ならば4気筒エンジンならば5ベアリングが当たり前だからですね。気筒毎にクランクシャフト軸を両側2個の軸受けで支えているので偏心自体が少なく抑えられているためです。

ついでに言うとA型エンジンで回転数上限を9500rpmにする場合にはもっと広いクリアランスが必要になることでしょう。(9500÷4000)^2=・・・実に0.07mm偏心しますから、必要クリアランスは控えめに言って0.08mmくらいでしょうかw
ここまで行くと低回転では油圧を保持するのも大変になるでしょうから、本気でレース専用エンジンになりそうですねw

・・・気がついたら思いっきり語ってしまってましたが(汗)何が言いたかったかというと、8000rpm前提だとクランクシャフトは0.05mmくらいは偏心しながら回転するわけですよ。つまり・・・修正加工前の赤ミニの軸受け配置ならば確実に軸受けにクランク軸が当たっていたな、と(大汗)

でもそれですぐに焼き付くわけではないんですよ。何故ならば通常行う「1000kmまでは4000rpm上限で慣らし運転」によって、まずは最初に当たる軸受け部分が軽く削られ、徐々に回転数を上げていく過程で偏心が増したクランクシャフト軸によって軸受けが更に削られ・・・を繰り返しながらクリアランスが増大していくためです。

とは言え、焼き付かなかったからメデタシメデタシ・・・では無く(汗)、そこには結果として過大になってしまったクリアランスが残るためにオイル保持(油圧保持)の観点で大問題になることでしょうし、そもそも慣らしの過程で削れて出てくる鉄粉(メタルベアリング側が摩耗するとしたら銅や鉛粉かなw)がどう考えても無駄ですし。
油圧は下がるわ鉄粉やたらと出るわ油温ガンガン上がるわ、結果として潤滑不良や過大なクリアランスの中で暴れまくるクランクシャフトによって更に摩耗が進むわ・・・で全くの負のスパイラルに陥ってしまいます。

R0015841.jpg

そんなわけで軸受けをビシッと一直線に揃えるというのはエンジンの性能的にも耐久的にも非常に重要なのです。エンジンの一生を決めると言っても過言ではありません。

上の写真は修正加工後のブロックの軸受け部分ですが、見るからに一直線になってますよね!←ウソです、目で見て分かるもんじゃありませんw

でもメカフェチ心をくすぐる良い写真だと思うんですよ。P師は時々こういう良い写真を撮ってくれるのが心憎いですが、たぶん作業が夜遅くなって暗い中で必要に迫られてライトアップしているだけかもしれませんw


PS. クランクシャフト軸の偏心量の話はノーマルの指示値を元にした一つの推論ですが、おおよそ当を得ていると思います。ここに思い至った過程には、P師からの問題提起に始まって某秘密基地のN村店長や某秘密商社の救いの神様と相談させて頂いた遣り取りがあり、そのおかげと感謝しております。ありがとうございます!

PPS. これまで使ってきたメタルベアリングの厚さを測れば、これまでの軸受け配置からベアリング部分がどの程度負担を受けて過剰に削られてきたかを検証出来るのですが、P師に「ベアリングの厚さ測って〜」と頼んだら「エンジン組むのに忙しいからダメ」と断られてしまいました。工学的検証のために重要な知見なので測って欲しいんですけどねえ・・・え?いやいやブログネタのためじゃないですよw

この記事を読んだ皆さんも次にSVに行く機会がありましたら「あれ測った?」とか「なんで測らないの?」とか「早く測れば?」とか、プレッシャーをかけてきて下さいw



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ふ~~ん。んんん

へ~え。。そうだったんですね~(・・)
回転数とメインジャーナルのクリアランスの関係。。

しらなんだ~(。。)_。
知らずに7500rpmまで回してました(汗。

今回のネタはむちゃくちゃ興味しんしん(^^)
凄く勉強になりますw

PS このタイミングで、このネタ♪
   P師にちょっと。。打診したら。。
   苦笑い?してましたw

みくたスペシャルー!

本題の前に
昨日は肉の日だった事を思い出し一日遅れなれど今日のランチは贔屓にさせてもらっているトンカツ屋さんへ。
行ったのですが、何故かカキフライ定食を注文。
今がまさに牡蠣の旬なのですが、それにしても!旨かった♪
こんなクリーミーな牡蠣って久し振り~ん♨

で、みくたスペシャルw
こうなればとことんwいずれボディからまるっと造っちゃって下さい!
それにしても今回のネタだけでも必殺技ってかんじなのに・・・何かこれだけでもインプレが無いのは勿体無い気が。。。
この後のブログネタはスタン・ハンセンにウエスタンライアットを喰らってマットに叩きつけられと同時にブルーザー・ブロディのフライングニードロップに駄目押しのトドメを喰らうようなもなんだろうな~、きっとw

目から鱗です!

今回の講義は素人の私にも凄く解りやすく非常に勉強になりました!
こんな先生の講義だったらもっと成績上がっていたかも?
ミニショップの作業依頼ハードルが急に上がりそうですねw

その内、『チューニングバイブル』として本にw

僕も何も知らないで7000回転オーバーまで回してました(ー ー;)
無知って怖いですね!!
だいたい、僕の仕様でそんなに回しても『百害あって一利なし』なのは頭で理解しているのですが。。。

こんな現実を教えてもらっちゃうと、怖くなってアクセル緩めちゃうので、次戦からは5000回転上限で走るようにしますw

ツインカムの難しさ

KADハムさん、どうもです。

記事を書いている時、KADハムさんのツインカムヘッドのことを思い出してました。
ヘッドは10000rpmまででも許容出来るのに対し、クランクシャフトは10000rpmに合わせれば低回転で合わず、低回転に合わせれば高回転でダメージ大、という難しさがありますね。

せめてカムを選べれば7000rpm以下でトルクを最大化するようなチューニングも出来るのですが。

それにどんな腰下仕様でヘッドが換装されたのか履歴が分からないのが一番不安ですね。クランクを組み直す時にせめてクリアランスを調整してあげて下さい。でも・・・ラインボーリングはオススメですよw

今はト辻に興味津々w

ジョブさん、どうもです。

タイトルは今週のヤンマガのネタで、必殺技の名前ですw

肉もいいけどこの時期は牡蠣も美味しいですよね、いいな〜w

確かに他は今のままでブロックの精度アップだけでどこまでフィーリングが変わるのか体感したいものです。About TAさんの話では組む時に手に伝わる感覚から違うそうですが・・・楽しみですw

ありがとうございますw

miniG1さん、どうもです。

わかりやすかったと言って頂けて嬉しいです。
同じ内容を以前ちょんあーさんに説明したのですが、その時は上手く説明出来ず理解して頂けなかったようなので、今回は身を挺して(?)自分でやってみましたw

たぶん効果絶大ですよ〜、オススメですw

大丈夫ですよw

クロミニさん、どうもです。

7000rpmまで回して焼き付かなかった段階でその時の偏心の振れ幅までメタルが削れて広がってますから大丈夫ですよ、安心してアクセル踏んであげて下さいw

油圧がかからなくなってきたら要注意ですが、その時まではガンガン楽しんであげるのがエンジン的にも幸せなのかな、と思います。そしてその時が来たらOHしてきっちり仕上げてあげてくださいw
プロフィール

みくた

Author:みくた
運動神経のなさを経験値でカバーしようと企むAround 40です。
これまでランエボでのサーキット走行にハマり、最近はClassic MINIに惚れ込んでます。Mini1000、1300キャブクーパーとおんぼろミニを乗り継いで、Austin Mini Mk1 に辿り着きました。レストア、トラブル対策とのんびりドライブを楽しんでます。
よろしくお願いします。

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