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ピストンおよびコンロッドの軽量化

個人的に最重要戦略パーツと認識していたので1年間内緒にしてきた秘蔵パーツシリーズの第2弾、本日はピストンおよびコンロッドについてご紹介です。

DSCN2425.jpg

こちらがこれまで使ってきた998用のオメガ製鍛造ピストンと、重量合わせと表面研磨加工したノーマルコンロッド。

重量はピストンが286g、コンロッドが678g、合計で964gです。

IMG_0231r.jpg

そしてこちらが1年前に導入したスーパーテック製ピストンとサインズ製コンロッド。

重量はピストンが122g、コンロッドが473g、合計で637g・・・従来の約2/3ですよ(汗)

ピストン/コンロッドを軽量化するメリットとしてすぐに体感出来るものとしてはレスポンスの改善がありますが、より重要なメリットとしてクランクシャフト周りの耐久性の改善があり、ひいては耐久性に余裕が出来た分、より高回転まで許容出来るようになることがあります。

ではこの軽量化でどれくらい回せるようになるのか?

物体の運動エネルギーは質量と速度で決まります。往復運動する物体の運動エネルギーとかをマジメに計算するととんでもなく難しいのですが(汗)、ザクッとE=1/2mv^2で扱ってしかも速度を回転数で代用しちゃったりして、従来のピストン/コンロッドで7000rpmまで回していたのと同等の負荷になる回転数を電卓で計算しますと、

・ノーマルのクランクを使う場合:8600rpm
・クランクをEN40Bに換えて強度が1.5倍になった場合:10500rpm
・さらにトルクが1.3倍になった分の負荷を考慮した場合:9200rpm

・・・かなり控えめに言って9000rpmは問題ないであろう仕様になります。
実はマジメに計算した式もネットにあったりしますのでご参考に(こちら)。ちなみにこの計算式を使っても大体同じ結果になります。

話を回転数に戻しつつまとめると、スペック的には9000rpmまで安全を確保した上で8000rpmまでを常用し、時々シフトミスして9000rpmまで上げちやった的な使い方が出来るわけですねw

R0017217.jpg

重量軽減による耐久信頼性改善/高回転化許容の他にもメリットがあります。

まずはピストンの比較です。左がこれまで使ってきた純正形状、オーバーサイズのオメガ製アルミ鍛造ピストン。右がスーパーテック製のアルミ鍛造ピストンです。

見ての通りピストンの高さが全然違います。この小ささが軽量化に効いていることはもちろんですが、ここにもう一つメリットがありまして、

R0017214r.jpg

それは何かというとピストンの高さが小さい分、長いコンロッドが使えるということです。

左が998用のノーマルコンロッドでセンター/センター間のコンロッド長は146.02mm、右がサインズ製コンロッドで同じくセンター/センター間のコンロッド長は156.20mmとなっています。ちなみにP師による実測です。この記事のためにお正月休み中に測定をお願いしたのでした。ありがとうございます!

ではコンロッドが長くなるとどんなメリットがあるのか?

20160105_04.jpg

エンジン設計の中に「連桿比(れんかんひ)」という言葉があります。何かというとコンロッドの長さをピストンストロークの長さの半分で割った値なんですが、この値は上の図に示すようにコンロッドがシリンダーに対して最大でどれだけ斜めになるかを表しています。

20160105_05.jpg

そして連桿比が小さい=コンロッドが斜めになるほどピストン上面で発生した爆発圧力(赤い矢印)からクランクシャフトに伝えられる力(コンロッド方向の黄色い矢印)が小さくなり、ピストンを横に押す力(左向きの黄色い矢印)が大きくなってピストン/シリンダー間の摩擦としてロスする割合が増えてしまいます。つまりロスの大きい、回りにくい、焼き付きやすいエンジンになります。

逆に連桿比が大きい=コンロッドがシリンダーに対して平行に近いほど爆発力がロス無くクランクシャフトに伝えられ、回りやすい、焼き付きにくいエンジンになります。

ちなみに市販車では連桿比は3の前半、気合いの入ったスポーツカーで4前後、F1で5以上となります。例を挙げればハチロク(4AG)が3.17、GT-R(RB26)が3.30、ランエボ(4G63)が3.41、NSX(C32B)が3.9、フェラーリだとディーノ206GT(135B)が4.13!、246GT(135CS)が3.93です。この値を見るとディーノは初期の206こそが本気の仕様だったんだなあと痛感しますね。とは言え246GTの3.93も相当に立派です。高年式で出力点9000rpmを謳う458イタリアでも3.70ですからね。

・・・で、赤ミニの連桿比は?

ノーマルコンロッドの場合で3.83!
Saenz製コンロッドだと実に4.10!!

ノーマルでも十分にハイスペックですがSaenz製コンロッドでまさか4を越えてくるとは(汗)
そしてこの点だけはストロークの大きい1300ccエンジンでは絶対に成し得ない1000ccエンジンの物理的に美味しい領域ですね。1000ccエンジンのトラブルの少なさはこういう基本設計に起因するのではないかと改めて思いました。


昨日の記事と合わせて結論づけますと、

・クランクシャフトのカウンターウェイトの重量を増してクランクシャフトの偏心を抑制しつつ同時に剛性アップによってクランクシャフト自体の変形による回転ロスを抑制し、
・ピストンおよびコンロッドを軽量化してクランクシャフトに入力される負荷そのものを軽減し、
・さらに連桿比を上げることでピストン/シリンダー間のロスとリスクを低減した、と。

全ては余計な摩擦から誘発されるトラブルを防ぎつつ高回転領域でのロスを抑制して出力につなげるための打ち手であり、チューニングの土台となります。

1年間レースで使用してパーツ的に問題ないことも確認出来たし、何はともあれこれで器は揃ったわけです。あとはヘッド・・・8ポートヘッドとそれに合わせたカムの選定とセッティングで、どういう方向に味付けしていくかが今年の課題になります。

難しいし悩ましいですが楽しいですw


PS. お正月休みでプロショップがお休みしている間にブログ村のランキングで上位を奪還する企画、賛同して頂き、また応援して頂きありがとうございます!
僕のお正月休みは1/5で終わり1/6からはまた激戦地に戻ります(涙)ネタはまだまだ残っているので更新は僕の体力気力次第になります。皆さんの応援が励みとなりますので引き続き応援の程よろしくお願いいたします!




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ひまわりの種♪

相変わらずのご講義wありがとうございます(^^)この手のネタは大好物!
ハムスターにとって、ひまわりの種ですね♪もう口いっぱいに頬張っちゃいます!
連桿比w知らなかったです(・・)
さっそくwハム号はどうかなぁ~って調べました(^^)v
コンロッドは1300用では多分、最長のKADで158.49mm
ノーマルストロークの81.2mmで計算すると・・・
3.90!!(*^^*)NSXと同じ数値ですね~♪
赤ミニ号には届かないけど。。かなりイイ感じなんだと思いました(^^)v
スロート流速も含め参考にさせて頂きますっ!w

No title

KADハムさん、どうもです。

1300ccも結構頑張ってますよね、直4のロングストロークエンジンで3.9ってのはスゴイですよ。でもだからこんなに背の高いエンジンになってしまっているんですよね、しかも2階建てだしw

こんな知識を動員しつつ、最後は最適点としてどこを選んでどう組むかが楽しみでもあり最高機密でもあります。KADハムさんも楽しんで下さいw
プロフィール

みくた

Author:みくた
運動神経のなさを経験値でカバーしようと企むAround 40です。
これまでランエボでのサーキット走行にハマり、最近はClassic MINIに惚れ込んでます。Mini1000、1300キャブクーパーとおんぼろミニを乗り継いで、Austin Mini Mk1 に辿り着きました。レストア、トラブル対策とのんびりドライブを楽しんでます。
よろしくお願いします。

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